「デジタル装具手帳」リリースイベント開催報告

「デジタル装具手帳」リリースイベント開催報告

2025年3月13日(木)、有限会社テックワークスと北海道科学大学が共同開発した「デジタル装具手帳」リリース記念として、WEBイベントを開催しました。
有限会社テックワークスの弓野が司会を務め、専門家4名をゲストに迎えて、装具フォローアップの未来やデジタル技術の可能性についてディスカッションを行いました。

装具アプリ開発の経緯

はじめに、テックワークス代表の鈴木から、デジタル装具手帳アプリ開発の経緯について話がありました。鈴木は、装具フォローアップの話を聞いて、装具がメガネと同様に生活を支えるものであると直感し、IT技術でそのサポートができればと考えて開発に携わりました。「メガネがあることで、視力が弱い人も自由に生活できています。装具も同様に、適切にメンテナンスされていれば、ユーザーの生活を豊かにすることができるのではないか」と強調しました。

装具のフォローアップの課題とアプリの機能

次に装具フォローアップの課題について、共同開発に携わった北海道科学大学の研究者から解説がありました。春名先生は、装具が消耗品であり、定期的なメンテナンスが必要であることを強調しました。装具の不適合は歩行機能の低下や転倒の危険性を引き起こすことがあり、現状ではフォローアップ体制が十分に整っていないと指摘しました。佐藤先生は、装具の作成プロセスが煩雑であり、適切な時期に介入が難しい状況があると述べました。また、義肢装具士の数が少ないため、地域によっては対応が難しいこともあります。

これら課題の説明を受けて、アプリ機能とその意義について解説が行われました。
・装具の管理や歩行状況の確認、サポート企業情報の提供といった基本的な機能
・ユーザーとその家族が装具の知識を共有し、適切な管理を助けるウォークスルー機能
・装具の基本情報やメンテナンス履歴を管理し、定期的なメンテナンスを促す機能
・歩行状態を客観的に評価するための歩行チェック機能

ディスカッション

ディスカッションでは、装具のフォローアップの現状とアプリの役割、デジタル技術を活用した解決策などについて議論されました。

アプリによる装具フォローアップ

・勝谷先生は、アプリを使ったフォローアップが重要だとDX化について強調しました。特に、スマートフォンが普及していることから、デジタル化が進むことで管理がしやすくなると述べました。また、地域によっては高齢者が多く、スマートフォンを活用することで自ら管理が可能になることを期待しています。
・久米先生は、ユーザーが自主的に装具の状態を管理できるようになれば、より良い生活が送れると考えていると述べました。定期的なチェックや歩行状態の確認が重要であると強調しました。

デジタル技術の活用

・春名先生は、このアプリはユーザー自らが自分の健康を管理できる第一歩であると評価しました。装具の適合不良が二次的な障害を引き起こすことがあるため、デジタル技術を活用した管理が重要だと述べました。
・佐藤先生は、デジタル技術が人材リソースを最適化する手段として役立つと考えていると述べました。特に、義肢装具士の数が少ない地域では、効率的な対応が求められています。

将来的な展望

・久米先生は、アプリが医療スタッフやユーザーをつなげる役割を果たすことを期待しています。遠隔での装具の判定や評価が可能になることで、地域によっては医療アクセスの改善にも寄与する可能性があると述べました。
・勝谷先生は、デジタル技術が医療や介護の現場で大きな変化をもたらすと考えていると述べました。特に、高齢化社会においては、デジタル化が重要な手段となるだろうと強調しました。

質疑応答

YouTubeのチャット欄に、視聴者からも多くの感想や質問が寄せられました。それらに回答する形で、質疑応答が行われました。

Q&Aについてはこちらをご覧ください

視聴者へのメッセージ

最後に、イベントを視聴してくださった方々に向けて、各登壇者が一言ずつメッセージを述べました。

勝谷先生
「装具難民(装具の適切なフォローアップが行われず、生活の質が低下している状況)を救うよりも、装具難民を生み出さないことが重要です。アプリを使って地域での管理体制を整えたいと思います。」
久米先生
「アプリはフォローアップの適切なチェックや改善に役立ちます。介護を受ける方も安全に楽に生活できるように、笑顔が増えることを願っています。」
春名先生
「装具のフォローアップは重要です。アプリがユーザーに役立つことを期待しています。高齢化社会でテクノロジーを活用して生活を良くしていくことが大切です。」
佐藤先生
「アプリは装具のフォローアップ問題を解決する手段の一つです。業界全体が協力して解決していくことが重要です。ユーザーさんや医療スタッフが活用してくれることを願っています。」
鈴木
「アプリはまだ第一歩ですが、社会を良くしていきたいと思います。協力してくれる皆さんと一緒に進めていきたいです。」

まとめ

このイベントでは、装具のフォローアップに特化したデジタルアプリの可能性について活発な議論が行われました。装具ユーザーが自身で管理を行えるようになることは、医療や介護の質を向上させる大きな一歩となります。将来的には、装具がメガネのように日常生活で自然に使われ、人々の自由で豊かな暮らしを支える社会の実現が期待されます。テックワークスでも引き続きこのアプリの改良を重ね、より多くの人々に役立つツールとして成長させていくことを目指していきます。

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